AWS への移行に関するサービス まとめ
皆さん、こんにちは。技術開発グループのn-ozawanです。
台風1号が発生しました。今年は歴代7番目に遅いとのことです。ちなみに一番早い発生は2019年の1月1日です。
本題です。
AWSなどのクラウド環境が登場する前は、オンプレミス環境でシステムを構築していました。クラウドが注目されて以降、オンプレミス環境で構築したシステムを、クラウド環境へ移行したいというニーズが増えてきています。AWSには、オンプレミス環境からクラウド環境へ移行をサポートするためのサービスが多くあります。今回は移行に関するサービスをまとめてみました。
目次
移行計画の支援ツール
移行には綿密な計画が必要です。AWSでは移行計画を支援するためのツールが用意されています。
7つR
AWSでは移行戦略として「7つのR」を公開しています。
- Refactor (リファクタリング)
クラウド環境を最大限活用するために、アプリケーションやデータベースを全面的に改修します。ベストプラクティスで開発することが出来ますが、一番コストがかかります。 - Replatform (リプラットフォーム)
クラウド環境の機能を活かすために、プラットフォームを最適化します。例えばMySQLやPostgreSQLをAurora DBに切り替えたり、EFSやFSxで共有のファイルストレージを使えるようにする、などです。必要あればアプリケーションの改修が発生します。 - Repurchase (再購入)
これまで運用していた既存製品を、別の製品に切り替えます。例えばRedmineをJiraに変更するなどがあります。 - Rehost (リホスト)
アプリケーションやデータベースなどをそのままクラウド環境に移行します。既存システムが抱える不具合やリスクもそのまま移行されます。 - Relocate (再配置)
VMWareなどの仮想環境を、そのままAWSに移行します。 - Retain (保持)
現状維持です。検討した結果、クラウド環境に移行せず、オンプレミス環境で運用を続けます。 - Retire (廃止)
移行も運用も必要ないと判断されたシステムを廃止、削除します。
この7つのRで、どの方法で移行するかにより、利用できるサービスが異なってきます。
AWS Cloud Adoption Readiness Tool (CART)
CARTはクラウド導入支援ツールです。6つカテゴリ(ビジネス、人材、プロセス、プラットフォーム、運用、セキュリティ)に関する質問に答えることで、クラウド移行の準備状況に関する大まかな推奨事項のレポートが生成されます。
多くの企業がクラウド環境に移行して、そのメリットを享受したいと考えています。しかし、これまでのオンプレミス環境とクラウド環境は異なる技術領域であり、移行のみならず、移行後の運用も見直さなくてはなりません。CARTは、本当にその企業は移行できる状態にあるのかを評価し、改善案を提示してくれます。
AWS Application Discovery Service
AWS Application Discovery Serviceは、オンプレミス環境のサーバーの利用状況や設定データを収集することで、移行計画をサポートするツールです。収集する情報は、サーバーの性能や負荷状況、ネットワークの構成など、多岐に渡って収集します。システムの増改築を繰り返してオンプレミス環境の状況が分からなくなっている場合に有効です。
AWS Migration Hub
AWS Migration Hubは移行を管理するサービスです。AWS Application Discovery Serviceで収集した情報を可視化することが出来ます。また、移行が計画に則り問題なく進行しているのか、その進行状況をモニタリング出来ます。
移行サービス
以下は移行するにあたりAWSが提供しているサービスです。
AWS DataSync
AWS DataSync はオンプレミス環境のデータを、S3やEFSなどへ安全かつ高速に転送するサービスです。インターネットを介した通信により転送が行われますが、VPCエンドポイントを使用することで、VPN接続による転送も可能です。AWS DataSyncはオンプレミス環境以外にも、S3やEFSなどから転送することも可能です。

AWS Application Migration Service (MGN)
MGNはオンプレミス環境のサーバーをクラウド環境へ移行するためのサービスです。物理インフラストラクチャやVMwareなどの仮想環境、AWSも含む別のクラウド環境から、AWSにアプリケーションを移行することが出来ます。
MGNの移行に関しては、元の環境をそのまま複製するイメージになります。なので、移行に際してリファクタリングやリプラットフォームする場合には適しておらず、リホストの場合に適したサービスと言えます。
AWS Database Migration Service (DMS)
DMSはデータベースをクラウド環境へ移行するためのサービスです。移行対象のデータベースはOracleなどのRDBからMongoDBなどのNoSQLまでを幅広くサポートしています。データの移行は継続的に行われるため、移行中にシステムを停止する必要はありません。また移行の状況をモニタリングすることも可能です。
DB移行に関しては、ライセンスコストを下げたいなどの理由により、別のDBプラットフォームに変更したいことがあります。DMSでは、AWS Schema Conversion Tool (SCT) というツールにより、データベースエンジン間のスキーマを変換することが出来ます。SCTを活用することにより、例えばOracleからMySQLへの変更、などといった移行が可能となります。
AWS Snowball
AWS Snowball はテラバイト規模の大容量データを転送する際、回線が不安定だったり、十分な帯域を確保できない場合などに利用するデータ転送サービスです。AWSから物理的な筐体を受け取り、ローカル環境でデータを筐体にコピーし、AWSへ運送することによりデータ転送を行います。筐体の受け渡しを行う必要がありますので、転送には1週間程度の期間が必要になります。AWSは返却された筐体のデータをS3にアップロードします。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/snowball/latest/developer-guide/using-device.html
おわりに
オンプレミス環境からクラウド環境へ移行するには、事前に綿密な計画が必要になります。場合によっては無理にクラウド環境へ移行しない、という選択肢もあることでしょう。それら移行計画も含めてAWSの移行に関するサービスを有効活用して、スムーズで安全な移行を行いたいですね。
ではまた。