WBSにEVMを追加してみよう②

MARU

みなさん、こんにちは。戦略企画推進室のMARUです。
今回は2回目の投稿となります。よろしくお願いいたします。

10月19日はイクメンの日と記念日が定められているようです。
私も1歳の子どもがおりますが、自称ではなく
イクメンと呼ばれるように子育てを頑張りたいですね、ハイ。

本題です。
今回はEVMの詳細編として、前回の最後に予告した
EVMを用いての見通しの立て方について記載をしていきます。
前回の記事は こちらから 参照ください。

EVMで見通しを見る

見通しを見るためのEVMの要素

前回は各タスクごとにEVMを算出し、担当者ごとや機能ごとにサマリーしてみよう、
というところまで記事にしました。

EVMでは現状把握だけでなく、現状からの見通し/予測もできますので、
そこについてもご紹介します。

見通しに関わる要素は下記となります。
 残BAC:残作業工数。あとどれくらい作業が残っているか。
  ETC:残作業工数予測。残りの作業を今の生産性で進めた場合に
     どれくらいの工数で対応できそうか。
  EAC:完了時の総工数予測。
  VAC:完了時工数差異。

計算式はそれぞれ下記のように算出できます。
前回説明したEVMの基本の要素との組み合わせですね。
 残BAC:BAC – EV
  ETC: (BAC – EV ) / (EV / AC )
  EAC:ETC + AC
  VAC:BAC – EAC

追加要素はBACやPVなどと同様にWBSに列を追加します。
サマリー側へも同様に追加します。

サマリーしたもので、
  残タスクの量に偏りがないか
  進捗状況に偏りがないか
  推定完了日が極端に遅い担当者はいないか
などを検知することが出来、
現時点で問題が顕在化するまには至っていなくても
この先の見通しを踏まえて、見直した方がよさそうな要素を
事前に検知することが可能となります。

EVMで見る事例分析

次に事例をいくつか挙げておきます。
該当する場合は担当者にヒアリングし、数字上だけでなく実態としても同じかを
確認をしたうえでの対策を推奨します。

事例①
 EVM状況 SPIが 1.0 より高く、CPIが 0.9 よりも低い
 想定される状況 稼働を上げてオンスケを保っている状況
         今後難易度が高かったり規模の大きい成果物を実施した際に
         遅延が一気に拡大するおそれがある
 対処例(人)  生産性が出ていない担当者の作業割り振り見直し
         (より生産性が出せる作業へ組み換え)
         スケジュールの調整
 対処例(PJ)  生産性が出ていない要因を明確にし処置を行う。
         見積前提と実態に差異がある場合は、適宜顧客交渉も行う。

事例②
 EVM状況 SPIが 0.9 より低く、CPIが 1.0 よりも高い
 想定される状況 生産性は高いがタスク数が多く遅延傾向にある
         リーダークラスや有識者で成果物作成タスクを多く抱えていると
         陥りやすい状況
 対処例(人)  有識者の成果物作成タスクを振り分けてレビューや管理に集中させ、
         ワークの時間を確保させる
         品質が低くレビュー回数や時間が増しているなら、ピアレビューを実施する
 対処例(PJ)  見積工数が低く見積もられている可能性がある為、
         実績と計画値の差分を分析する

事例③
 EVM状況 SPIが 0.9 より低く、CPIも 0.9 よりも低い
 想定される状況 遅延しており、生産性も追いついていない
         計画とのギャップが出ており品質面の懸念もある。
         根本的な対応が必要な状況。
 対処例(人)  当該担当者自身のキャッチアップは厳しいため、
         当該担当者の割り振り作業を見直しタスクの再振り分けを実施
 対処例(PJ)  プロジェクト内でのキャッチアップは困難な状況。
         スコープ調整、スケジュール調整、体制変更(ヘルプ要員の追加)等、
         マネジメントレベルでの対応が必要

おわりに

以上、EVMについての説明でした。

一見難しいようにも感じますが、簡単な数式を追加するだけで
今後の見通しも予測することが出来、早めに対処することで
プロジェクトを正常化させることが可能となります。
うまく使いこなせると進捗管理をする上で大きな武器となりますので、
是非一度試してみてはいかがでしょうか。

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